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セラミド [ceramide]

角層細胞間脂質を構成する成分の一つで、スフィンゴシン骨格に長鎖脂肪酸が酸アミド結合した中性脂質分子の総称.
角層細胞間脂質に検出されるセラミドを構成するスフィンゴシン骨格としては、スフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシンの3種類が存在する.また、長鎖脂肪酸としては、直鎖の脂肪酸、α-ヒドロキシ脂肪酸、ω-ヒドロキシ脂肪酸が存在し、それぞれ炭素数も16〜30以上のものもある.さらにω-ヒドロキシ脂肪酸のヒドロキシル基にリノール酸などがエステル結合したものも存在する.このように、脂肪酸側にも多様性があり、さらにスフィンゴシンにも3種類が存在するので、その組合せによって決定されるスフィンゴ脂質であるセラミドはきわめて多様な分子の集まりである.なお、スフィンゴシン骨格部分は親水性を、脂肪酸部分は疎水性を示す両親媒性の分子である.図に、ヒト角層に存在する主要なセラミド分子の例を示した.
皮膚のセラミドは、ケラチノサイト(表皮角化細胞)において、アミノ酸の一種L-セリンと脂肪酸の一種パルミチン酸を出発原料としてスフィンゴシン骨格がつくられて、その後、種々の酵素反応を経て生合成される.その大半は、グルコシルセラミドあるいはスフィンゴミエリンとして層板顆粒に蓄積された後に、角層細胞間に分泌されてコレステロール、脂肪酸とともに角層細胞間脂質を形成する.優れたバリア機能を発揮するためには、セラミド、コレステロール、脂肪酸の比率が大きく関与しており、その比率が崩れるとバリア機能が低下することが知られている.
天然のセラミドは抽出・精製操作が難しく、化粧品原料としてはきわめて高価である.そこで、化学合成されたセラミド類似物質が開発されており配合例もある.(平尾哲二)

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