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ベビー用化粧品 []

乳幼児に対して使用することを目的に開発された化粧品.かつては化粧品というと、成人女性のものであるという認識が一般的であったが、現在は性別や年齢を問わずスキンケアの必要性が認められており、乳幼児に対しても適切なスキンケアが必要であるといわれている.たとえば、一見理想的な状態に見える乳幼児の肌は、生理学的に見ると成人と比べて皮膚は薄く、皮脂量が少ないため環境の影響に対する防御能が低い.このため皮膚の乾燥や炎症などを招きやすいので、適切なスキンケアで皮膚を保護することが必要である.また、オゾン層の破壊により地表へ到達する紫外線量が増加しているが、年少時から紫外線に対しての防御策を講じることで成人後の発がん率が抑制されるといった理由からである.
種類
古くからなじみの深いベビーパウダーをはじめとし、スキンケア化粧品では石けんやボディシャンプー、シャンプーなどの洗浄用製品、クリームやローションなどの保護用製品、さらに屋外で遊ぶ年齢に達した子どもむけに日焼け止め化粧品などその製品は多彩である.処方開発においては低刺激性であることが重要視され、香料や着色料などは配合されないことも多い.また最近では小学生などの低年齢層に向けて開発されたメークアップ化粧品もある.
(1)ベビーパウダー
乳幼児用の粉末状化粧品.タルクを主成分とし、ルースタイプのものと、結合剤として油分を配合しプレス成形した固形状のものがある.おもにタルクの吸湿性を生かし、夏季や風呂上がりに肌をさっぱりさせたり、おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)を防ぐなどの目的で用いられる.なかには殺菌剤を配合し、おむつかぶれを防ぐ製品として特化したものもある.
(2)ベビーソープ
ベビーソープの処方は基本的には成人用のボディソープ(ボディシャンプー)と変わらないが、乳幼児の肌は、皮脂量が成人に比べて顕著に少ないことから、脱脂力を弱くし保湿剤を添加するといった配慮をしたものが多い.ベビーソープには一時期殺菌剤が配合されたこともあったが、皮膚常在菌のバランスを乱すことなどから、現在ではあまり配合されない.
(3)ベビーシャンプー
乳幼児の目に入りにくいように粘度を1,000 cps(100 Pa s)以上と高めにし、さらに万一目に入ったときにもしみにくいものが望まれる.
(4)ベビークリーム
皮脂量の少ない乳幼児の皮膚を保護するため油中水(w/o)型のものが適当だが、感触や伸びのよさを高めるため、w/o型でもなるべく水分の含有率の多いものや水中油(o/w)型のものも多い.またオリーブ油ホホバ油のように脂質成分に類似した油分、アミノ酸のように天然保湿因子(NMF)に類似した保湿剤、さらにヒアルロン酸コラーゲンなど生体関連物質が配合されることが多い.
(5)ベビー用日焼け止め
皮膚へのやさしさを考慮して、紫外線吸収剤を配合せず、紫外線散乱剤のみで紫外線防御機能をもたせるものが多く見られる.また、乳幼児は汗をかきやすくクリームが流れやすいこともあり、こまめに塗り直すことを前提に比較的SPF値を低めに設計したものが多い.(角田依子)

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