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毛穴 [pores(of the skin)]

皮膚の表面にある、毛の生えている小さな穴.毛孔ともいう.断面から見るとすり鉢様の構造をなすが、この構造を毛漏斗部という.脂腺の大きさ、形態、分布密度、活性度は身体各部位によって異なるが、顔面では毛穴の総面積は加齢に伴い増加する.また、毛穴の形状は顔面では加齢に伴い長くなる傾向にある.これはたるみによって皮膚が伸長するのに伴い、毛穴の形状も長くなると考えられる.脂腺で生成される脂質の主成分はトリグリセリド、ワックスエステル、スクワレンである(→皮脂).皮脂成分のトリグリセリドから産生された遊離脂肪酸は毛漏斗部を刺激して角化亢進を引き起こす.毛穴が目立つ人では、毛漏斗部の不全角化と不飽和脂肪酸の産生が亢進している.角化が亢進し、そこに角化物や皮脂がたまると黒褐色の点がみられる.これがいわゆる毛穴の黒ずみである.毛漏斗部にはアクネ桿菌(Propionibacterium. acnes)が常在し、遊離脂肪酸の産生だけではなく炎症誘発物質である好中球走化性因子、補体活性化因子、プロテアーゼ、ヒアルロニダーゼなどを産生する.このアクネ桿菌が増殖すると、角化が亢進した毛漏斗部へ好中球を誘導し、毛穴の黒ずみが炎症性の赤い丘疹(きゅうしん)、膿疱(のうほう)へと移行する.ケア毛穴の開きが目立つ皮膚に対して行うスキンケア.毛穴が開く原因としては、皮脂腺の働きが活発で皮脂分泌が盛んであることが第一にあげられる.さらに過剰に分泌された皮脂が毛口に残って角栓を形成し、毛穴を押し広げることもある.このような皮膚の毛穴ケアには、専用のパックを用いることが多い.これには、強い粘着力で角栓を除去するシートタイプのものや、毛穴に詰まった皮脂を溶解して除去したり、皮脂を吸着する粉体を配合したクリームあるいはジェルタイプのもの、結晶セルロースなどのスクラブ剤を配合して角栓を物理的に取り除くクリームタイプなどがある.また、過剰に分泌された皮脂を吸着する粉体を配合した化粧水も、毛穴ケアに用いることができる.このタイプの化粧水は、脂性肌用化粧水や収れん化粧水として上市されているケースも多いが、毛穴ケアのアイテムとして、パックによる毛穴ケア後や日常のスキンケアに取り入れることができる.また、毛穴の開きは加齢とともに皮膚がたるむことでいっそう目立つ傾向がある.そこで、思春期以降の肌で目立つ毛穴のケアには、過剰な皮脂や角栓を除去するだけでなく、肌のたるみに対するトリートメントを取り入れることも必要である.補正小鼻のまわりなどの毛穴の目立ちや、肌の凹凸をメークアップ効果により隠し、肌を均一でなめらかな状態に見せること.肌悩みの最近の調査によると、小鼻のまわりの毛穴の目立ちなど肌の凹凸に対する悩みが上位にあげられる.この悩みを世代別に見ると、10〜30歳代に毛穴の悩みが多く、年齢が低いほどその傾向が強くなる.最近では、この凹凸を補正する手法に、光散乱について唱えるデフォーカス理論(デフォーカス効果)の考え方を応用している.粉末による毛穴補正デフォーカス理論の応用で、毛穴を明るくぼかすことで見えにくくさせる技術がある.最近は、ナイロンパウダーのような球状粉末単体ではなく、マイカなどの板状粉末表面に二酸化ケイ素(シリカ)などの球状粉末を被覆させた複合粉末が、開発されている.この粉末を用いると基板の板状粉末により、肌への付着性が増し、かつ被覆された球状粉末によってデフォーカス効果が生まれる.また、素材自身の屈折率や形状による効果により、透明性と光散乱性の両方をあわせもつ粉末“バタフライ状硫酸バリウム”が開発されている.基剤による毛穴補正毛穴補正に対応する化粧下地ファンデーションの基剤には、さまざまなものがある.パウダーファンデーションは、球状粉末の配合により、粉末のもつ光散乱効果によって毛穴の目立たないマットでフォギーな仕上がりが得られる.それと比べて、リキッドタイプのファンデーションは、球状粉末を配合してもその効果が出にくく、配合されているオイルのため、つややかな仕上がりとなる.フォギーに仕上げたいときは、リキッドタイプのファンデーションの場合は、仕上げ用パウダーを重ねるという方法があるが、最近では、リキッドタイプのファンデーションのオイル分に揮散性の高いシリコーンを用いることによって、肌へ塗布後オイルを揮散させ、フォギーな仕上がりが得られる製品もつくられている.ほかにもゲルタイプ、固化力のあるろう(ワックス)の配合されたクリームタイプ、スティックタイプがある.ゲルタイプのものは、その多くに球状粉末が配合されているが、その球状粉末配合ゲルを肌に直接塗り込むことによってゲルが毛穴を埋め、かつ毛穴に入った球状粉末の光散乱効果により、毛穴を目立たなくする.クリームタイプも、毛穴補正部位へ直接塗り込むことによって、毛穴へのワックスの埋め込み効果が期待される.また、スティックタイプについても、クリームタイプ同様の効果が考えられるが、スティック状のためポイントに集中して使える、携帯性に優れているといった利点がある.(角田依子、松永由紀子、南孝司)

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