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角化 [keratinization]

表皮における、基底細胞が有棘細胞、顆粒細胞、角層細胞と変わっていく過程のこと.ケラチノサイト(表皮角化細胞)が基底層において細胞分裂し、一つは基底層にとどまり、もう一つは有棘(ゆうきょく)層*、顆粒層を経て角層に至り、最終的には垢(あか)となってはがれ落ちる一連の過程をさしていう(図).この過程において、角層バリア機能や角層保湿機能などを担う構造や強靭な組織がつくり出されるが、その多くは、角化の過程において厳密にコントロールされた遺伝子発現に発端し、その産物が構造体となる.あるいは間接的に構造体の代謝を調節することにより、時間的に空間的に秩序立って行われる.角化過程の異常を示す疾患を角化症と総称し、その病因は遺伝性のもの、炎症性のものなど多岐にわたる.ケラチン線維の形成ケラチンは角化の過程で細胞内に産生される主要なタンパク質で、さまざまな分子種から構成される.それらは、まずヘテロ二量体(違った種類のケラチンが二つ集合したもの)を形成し、さらにフィラグリンの働きにより凝集することによって、最終的には角層にケラチンパターン(角層細胞において電子顕微鏡で観察される特異な構造でケラチン線維とフィラグリンが規則性をもって配列するために現れる)を示す直径約10 nmのフィラメント(線維)を形成し、角層細胞を平らな形のものにしている.また、物理的にも化学的にも強固な性状の主体をなす.角層細胞間脂質の形成有棘層上層から顆粒層において、細胞内において角層細胞間脂質を構成する脂質の生合成やそれらを代謝変換する酵素の産生も盛んに行われる.産生された脂質は、層板顆粒に蓄積され、角層細胞に至る過程で細胞の外に分泌されて、角層中で角層細胞間脂質のラメラ構造をとり、角層バリア機能に重要な役割を果たす.コーニファイドエンベロープの形成有棘層上層から顆粒層にかけて、コーニファイドエンベロープを構成するタンパク質が盛んに生合成され、酵素トランスグルタミナーゼの働きによりタンパク質どうしが架橋されて、角層に至る過程でコーニファイドエンベロープが形成される.

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